ふつうに生きていたらむなしくなります。
人がある瞬間に自分の脆さを守るようになにかを排斥するのをみたとき、あー、と思います。
彼女はそのむなしさを埋めてくれるようでした。

先生は「人は生き延びねばならないから、多少なり醜いものですよ」といった。

美しいものが、好きです。

吉行淳之介の「夕暮れまで」の杉子は23で、わたしはこの間24になった。
としをとるたびに、わたしは自分が詩になり得ないことについて考えるし、また、死ぬまでにいくつの詩を抱えられるのかと必死に勘定しているような気がする。
24の女の日記に価値はあるのか。
などと考える。

としをとると、意味がなくてはならなくなる。価値が、若さそのものの持つ価値から、人間の価値になる。その人間の臭いに、わたしは耐えられるのかなと考えているけど、きっと大丈夫なんだと思います。