ほんとうにさわるのを尊しとしたとして
ほんとうにほんとうなことがあったためしもない
雪ですら薄汚れている
といって、なにもかも斜にかまえたり、逃げたり、わからないまま、無色透明でいることになんの意味があるのかわからないし
なにかを賭けずにポップソングをばかにするのは
結局、白い雪をほしがるのと同じことだ
なにかを間違いだらけに愛することしかできないから
真っ白な雪をすっかり諦めて辺りを眺めるしか道は残されていない
わたしはちっちゃなナイフを握りしめてじりじりと追い詰められてゆく
「あなたは平々凡々幸せにやるでしょう」
わたしはあなたに言うが、わたしにも言っているのだとわかる
苦痛のために死ねるのかと自問自答し、答えは既に出ている
薄汚れた未来への期待を捨てないで
薄汚れたなりの愛を愛して
美しいものはどこにもないと朝の夢が教えてくれた
それは朝日にみちたグラウンドを走る夢だった
ユルスナールの書き記した共犯者の秘密をくだらないことに感じて苦笑いするわたしがいる
絵をかきつづけていてがっかりはしないかと不安で死にたくなる
わたしはディズニーアニメが好きで
誰かの編んだいびつな形のセーターみたいになれたらと考えている